若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

吉田博嗣『やすお』が描く多数派の人間

 

 


不気味の谷」という言葉があるように、人間に近い存在が想定を超えるような行動に出るとこわくなる。吉田博嗣さんの描いた読み切りマンガ「やすお」も人間に近しいものの恐ろしさと人間の不可解さを味わえる。

 

 

 

やすおは汎用性のロボットである。基本的な家事などであればそれなりにできる。ずっと笑顔を絶やさないし反抗もしない。しかし覚えが悪いと「コツ」が必要でーー

 

 

 

といった内容である。無料で読めるのでまずはこちらのリンクから一読いただきたい

 

 

 

https://comic-days.com/episode/3269632237330766632

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あなたはいまモヤモヤしてますね?これがメンタリズムです。主人公の女の子と『やすお』には視覚的な違いはない。だが犬のようにご飯、あるいはエサを食べてるところを見たあたりで明らかに異質の存在だと認識する。お付き合いをしている男性もどこか機械のような見た目をしていたが不意に人間らしさが宿る。ぼくがこのマンガを読んでいて人間味を感じたのは怒るシーンである。女の子はやすおに当たり、彼氏は女の子に不満を漏らす。ロボットには許されない行為であり、怒りは人間の特権なのかもしれない。頭の中に湧き出てからなんらかの行動に出るまでのスパンが1番短いのは怒りなのかもしれない。怒りのはやさは機械では再現することはできないかもしれない。

 


だが物語の結末の主人公のやすおに当たるか、やすおを褒めるか、の2択は選択肢がおかしいように思う。やすおを褒めることがあの世界の『肯定』であっても、やすおを叩くのは『否定』ではない。褒めてもけなしてもやすおは使われているだけだ。なぜ仕組みがおかしいと思ったら、その仕組みをつくった人らを疑わない。なぜ仕組み自体に牙を剥く。

 


やすおは『多数の働きたくなさ』からうまれた。数は大きな力を持つ。しかし現実は少数のお金持ちが世界の大半の財を独占している。相対的に貧しい人は、富んでいる人よりもずっと多い。そのひとたちは働きたくないと思いながら働かされている。自分は『恵まれている』と思うが平均賃金を下回っている。「いい歳」になれば解消される問題なのかはわからない。他の会社で働いている人たちを見たわけではないのでぼくの何倍も必死こいて働いているかもしれない。そしていくらか多くお金を貰っている。冷静に考えると他の会社じゃなくても会社の重役たちと自分の収入にどれだけの開きがあるのかもわからない。仮に重役の明細を公開したらどうなるだろうか。働くモチベーションになるのか、仕事が投げやりになるのか。どちらにしても重役は自分の立場を狙われるか、言うことを聞かなくなるかだ。なので公開するメリットはない。

 


最近は残業に抵抗がなくなってきた。残業してどこかのタイミングで楽ができるのであれば喜んでする。加えてお金を使う気も失せてきた。汗を滲ませながら得たお金をぞんざいに扱いたくない。欲しいものはない。仕事は喜んでする。もうやすおとかわらない。昼休憩で仮眠をとっているときは数分の体感だが、あの間に後頭部の蓋を取り外してバッテリーを入れ替えてるのではないだろうか。