若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

会社で泣いた

 


電話に出た上司から「現場から呼ばれてるよ」と言われた。

こういう場合は9割方、ぼくの図面に不備があったということだ。

 


案の定、お怒りのおじさんがいた。どこに問題があるかを聞いても全然分からない。図面からぼくの内面にお説教が移っていく。小さく「はい」と「すいません」しか場に出すことができない。全て言ってることが正しい。間違ってるのはぼくだ。この会社でちゃんと怒ってくれるのはこの人ぐらいで直接の上司はネチネチ文句しか言ってこない。

 


怒っていたおじさんが急に優しい口調で

 


「設計は嫌いか?」

 


と、尋ねた。

 


設計をはじめて約1年。1年間、設計が嫌いだった。365日の我慢に気づかれて涙が出た。まさか泣くとは思ってなかったようで「おれが泣かせたみたいじゃん」と、動揺した。

 


ぼくはそのまま工場の外に連れていかれた。

 


おじさんは現場の人間だが、かつては営業をやらされたらしい。それがおじさんの奥さんの妊娠と時期が被ってしまった。奥さんが大変な時期に側にいてあげられなかったおじさんは鬱になって、営業を辞めさせてもらった。

 


おじさんの「設計は嫌いか」という質問に「ぼくには向いてないです」と答えた。

 


仕事ができないし、興味も持てない。おじさんは「自分が仕事に向いてると思いながら仕事してる人なんて全然いない」という。「今、偉そうにしてるヤツらだって、最初は全く仕事できなかったんだよ」とも言ってくれた。

 


ぼくの支えは時間が経てば仕事ができるようになるかもしれないことだけだ。歳をとった時に今と対して変わらないぼくがいるかもしれないと思うと堪らなく怖い。

 


おじさんは「嫌な仕事を無理して続けなくてもいい。他の部署に行かせてもらってもいいし、他の会社を探してみてもいい」と言いながら肩をポンポンしてくれた。

 

 

 

ぼくは家に帰って転職サイトを開いてみた。未経験歓迎の文字の横に今月貰った給料よりもずっと高い金額が載っていた。ぼくの大学の勉強はなんだったんだという悲しさと胡散臭い会社の紹介文の怖さが襲ってくる。身動きをとることが出来ない。

 


星野源の世話をして生計を立てたい。