若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

薄着だと鍵をしまい忘れる

 

 


ここ数日は春の訪れを感じる。数日前の休日も雨だったが気温は朝から15℃もあり、上着を着ることもなく散歩に出かけた。20分ほど歩き続けた頃だっただろうか。心地のよい気温で上機嫌に手を振りながら大股で歩いていると、ポケットのあたりに手が触れた。なんの感触もなかった。

 


散歩のときは特にどこか目的地を定めて歩くことは少なく、持ち物は財布と家の鍵とスマホ程度でなんとなく収納するポケットの定位置を決めていた。上着を着ないということはこのポケットの構成がかわることを意味する。ポケットの数は当然減り、ケツポケットを運用しながら持ち物を収める。そして家の鍵を担当するポケットに感触がないのである。

 


ニュース番組を観ていると強盗事件が増えたような印象を受ける(強盗事件の中には数万円しか盗めていない犯行もあり、その程度のお金のためによく捕まるようなリスクを犯せるなと思う。それほど彼らの生活は圧迫されているのだろうか。ぼくは大金が得られるチャンスがあっても犯行に及ぶ勇気はないが)。この時も強盗のニュースが頭をよぎり早めに散歩を切り上げようと考えたが、ちょうどその時聴いていたオードリーのオールナイトニッポンで若林さんのフリートークが盛り上がっていた。ぼくはトークをゆっくり聴きたくて、散歩を続行してしまっていた。

 


散歩の醍醐味はいくつもあるが、ぼくは公園を見つけた時にテンションがあがる。ブランコと滑り台とベンチの組み合わせがベーシックなセットだが、ここに謎の筋トレ器具であったり、花がたくさん生けられていたり、滑り台が山を模していたりとそれぞれに独自の世界観と遊び心を感じる。この日も新天地をフラフラしていたが、遠巻きに大きな木が見えた。これは公園や神社の目印であることが多い。どちらであっても嬉しい。木に近づくと周りが高い塀で囲われていて入り口が見つからない。塀に沿って歩いてもなかなか塀が終わらない。

 


かなりの距離を歩くと木で出来た階段を発見した。どうやら公園のようだったので階段を登る。階段や舗装されていない道を数分間歩き続けて山を下ると滑り台やベンチが設置されていた。ただの公園だと思っていたが巨大な自然公園のような施設であったようだ。目の前には見知らぬ土地が広がっており、かなりの距離を歩いたので帰り道の方向も定かではない。

 


周りを見渡すと、なんとなく見覚えのあるスーパーの大きな看板があり、そちらを目指して進むと知っている道に出た。知らない道をテキトーに歩いてたら知ってる道に繋がり「ここに出るのかー」と気づく。これこそが散歩の最大の醍醐味である。アクションゲームでいうところのボス戦までの道のりにショートカットのコースを見つけたときの喜びに近い。

 


散歩を満喫していたら足がパンパンになるほど歩いていた。このまま帰る元気もなく、通り道にあったコメダに来店した。たくさん歩いていたので体温が上がっていた。店員さんに『たっぷりアイスコーヒー』を注文する(コメダはサイズわけがスモールやトールではなく、"普通"か"たっぷり"なところがかわいい)。たっぷりのアイスコーヒーを飲みながら文章を書いて、水も飲んだ。すると流石"たっぷり"である。寒くなっていた。ホットコーヒーを追加注文して温まる。

 


コメダで休ませてもらって、残りの道を歩き切った。家のドアの前に立つと鍵が刺さったままになっていた。公園を発見した辺りからすっかり忘れていたこと、そして鍵をそのままにして気づかない自分に怖くなって急いで家に入り、玄関に鍵をかけた。あの時は、数秒前まで目視で空いてることが分かるような部屋だったのになにを急いでいたのだろうか。