若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

映画『小悪魔はなぜモテる』における嘘の罰

 

 


先日、101匹わんちゃんの悪役、クルエラを主役に置いた映画『クルエラ』の予告映像が公開された。クルエラ役の女優さんがとても素敵だが、なんだか見覚えのある。詳しくみてみると、なんとエマストーンである。アカデミー賞女優である彼女を認識できないほど見事な特殊メイクだった。『マレフィセント』のアンジェリーナジョリー然り、『パイレーツオブカリビアン』のジョニーデップ然り、ディズニーの特殊メイクは素顔を思い出せなくなるほど強烈なのに、圧倒的な存在感で演じてる俳優さん、ではなく映画の登場人物としてのキャラクターをちゃんとすきになれる。脅威の技術力である。ぼくはディズニーの名作映画の実写化には否定的であるが、あそこまでのメイクをみせられると、どうしても気になってしまう。

 


そんな『クルエラ』で素敵な姿をみせてくれたエマストーンが女子高生を演じるのが、今回感想を書かせていただく『小悪魔はなぜモテる』である。

 


この世界のエマストーンには友だちが1人しかいないようだが、校庭でド下ネタを大声で言い合って笑う、素敵な関係である。下ネタを言い合う仲だが、実際にはそういった経験のない2人。エマは見栄から「経験済み」だと嘘をつくが、たまたまお喋りな同級生にこの嘘を聞かれてしまい、全校にその噂が広まってしまう。噂に尾ひれがつき、「エマはお金を払えばヤラせてくれる」といったものに発展しーー。

 

 

 

 

 

 

 


ここからは本作のネタバレをするのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エマが遊び人」だという噂が広まると、途端に男子生徒に声をかけられるようになってモテ出す。一種のブランディングだと思うのだが、日本では真逆のブランディングが行われているように感じる。アイドルは事務所によって恋愛させてもらえず、その事実が発覚すると謝罪会見をしたり、坊主にしたりする(坊主のパターンは1例しか知らないが)。この国では未経験であることの方が価値があるのだろうか。共学の学校で男子が大声で下ネタを言えば、恥ずかしがるフリをするし、恋愛経験は少なめにサバを読む。芸能人に限って言えば、自分の応援している方に恋人がいると冷めてしまうからそういった発言を控えるのだろうか。恋人がいてもいなくてもファンには関係ない気がするのだが、もしかして、なんらかの偶然で付き合えると信じてるのだろうか。

 


ぼくは男女に限らず、遊んでいることを公言している人がすきだ。公言してないが、遊んでいることがバレてる人でもいい。元ジャニーズのあの人の遊び方なんかカッコいいとすら思う。自分にはもう遊ぶ元気はないが、生への活力というかエネルギーを感じる。彼に限ってはそういったコトが発覚した後の方が彼をすきになった。だから、バラエティでもっと活躍をみたいのだが、もうテレビは積極的に彼を起用する事はないだろう。また、一流のテレビスタッフと、破茶滅茶なあの人との映像を日曜の夜にみて笑いたい。

 


この映画で印象的なセリフがある。

 


『嘘をついたのは本当の自分ではない。

だけど、嘘をついた罰は本当の自分が受ける』

 


人の前で嘘をつくのは清くて強い、それこそ特殊メイクをしたような自分である。しかし、その責任を負うのは勝手で弱々しい自分なのである。SNS絶世期の今、本当の自分で過ごすには少々人の目が多い。自分を映す解像度はどんどん上がり、毛穴を隠すためにメイクをしなければ外には出られない。そして、そのメイクの評価を受け止める力は地肌にはもうない。煌びやかな化粧品売り場を見るたびに男の気楽さに安心してしまう。