若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

両親に言わない方がよかったこと

 

 


うつ状態であることを総務部の方たちに報告したときに「両親に連絡したか」と訊かれた。

 


たぶんぼくの両親は古い人間だ。酒を毎晩飲み、タバコを吸い、礼儀を大切にして、世話焼きである。なにかにつけて「なにかいるものあるか?」といったり、「金はあるか?」と訊いてくる。そうすると気を遣うようになるのか「欲しいものはない」「貯金している」と言うようになった。両親はそんなにお金を持っていないと知っているからだ。

 


会社を休みはじめて約半年。症状が軽くなったときに再び「両親に連絡したか」と訊かれた。復職の前に休んでいたことを伝えてほしくて訊いたそうだ。あまり乗り気ではなかったが、嘘をついて職場に戻りたくなかったので母親に電話をかけた。半ば解決したことであり、事後報告のつもりで明るく話そうと思いながら電話のコールを聴いた。説明するために当時のことを思い返していると途端に心が重くなった。

 


電話に出た母親に大分ぼかしながら「体調が悪くて会社を休んでいた」と報告した。当然、休んでた日数だったり、どんな症状だったのか、を尋ねられた。しかし沈みきって話せる状態ではなかった。何度も同じことを尋ねられ、つい強い口調になって「今度会ったときに話す」と言って電話を切った。

 


すぐに、普段と変わらない文体の何行にも渡る長文のLINEが届いた。返信することはできなかった。

 


情けなかった。親にも本心を打ち明けられずに誰に心の内を伝えられるのだろうかと思った。心配させたくなくて多くを話せなかったが、何も伝えない方が心配させてしまうだろう。全快して笑い話になってから報告すればよかったのかもしれない。会社の他人よりも親の平穏を優先すべきだった。あんなことは言わなくてよかったのである。