若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

アラサー男からどんどん人が去っていく

 

 


「25歳と30歳手前で結婚ラッシュが2回くるから気をつけろ」と言われた。事実、6月生まれの僕は2020年の6月から2021年の6月にかけての25歳の1年間、少ない友人の中から何組もの夫婦が生まれた。

 


友人の1人は大学で出会った花山薫似の大男であった。彼とぼくは工学部に属し、ほぼ男子校と同義のキャンパスに通っていた。よく遊ぶ友人グループ全員が、なんらかのオタクで恋愛話はなんとなくタブー扱いであった。当然、見た目を気にすることもなく、いつ見ても同じような格好の男がいたし、一年中半袖の男がいたし、エアリズムで出歩く男がいた。だから会社に勤めるようになって、久しぶりにあった時は驚いた。食事の写真を撮っていたのだ。

 


これはぼくの偏見だが、活発な人間はインスタを利用して、インドアな我々はツイッターに篭っている。花山薫もツイッターユーザーだとばかり思っていたのだ。しかも聞けば写真の投稿先はインスタではなくマッチングアプリだと言う。「映えがなんたら」と言いながらカメラを連写する。よくみれば髪も染められてあり、清潔感を感じるような髪型になっていた。その後は「パルコに行かないか?」と誘われ、ぼくの脳の処理は追いつかなくなった。

 


しかし安心感もあった。彼らから一切、女性の話題を振られたことがなかったので色欲を失ったヤツらだと思い込んでいたからだ。2次元のキャラクターの話しかしてこない彼らも人間を愛し、愛されるのだ。

 


それから酒の席で女性の話をすることがふえた。どんな女性に魅力を感じ、アプリで知り合った女性とどんな時間を過ごすのかを聞いた。アプリでの付き合いの多くは短期的なものであったが、ある時、話の熱量がかわった。その相手はゲーマーの女性で、オンラインゲームのボイスチャットで知り合ったそうだ。彼からお付き合いの話を聞き出そうにも言葉少なであったがこのときのお相手のときは聞かなくてもよく話した。

 


自粛ムードで彼と会うことは控えるようになった。彼との共通の友人に、麻雀に誘われた。彼も打てることが判明し、音声通話の招待を送った。程なくして現れた彼と麻雀をしていると結婚する、と報告を受けた。例のゲーマー女子とである。そして東京に転勤になった、とも言う。

 


『人間の親密になれる限度は6人である』そうだ。親友と言える人の平均が6人だかでこの数字が出たらしい。だからネット上でしか話さなくなった遠い友人ではなく頻繁に会う6人との交遊を大事にして、遊びたくなったらこの6人をまず候補に入れようと思った。こう考えたら友だちが少ないことを気にしないようになり、この人たちだけ一緒にいられたらそれでいいと思った。その6人の内の1人が彼である。

 


付き合いを狭めても人は去る。一度格上げしてしまったので他の友人をその枠にあげるのも違う気がする。頻繁にメンバーを入れ替えるのもダメな気がする。しかし残りのメンバーも家庭を持ったり、引越して去っていくかもわからない。そもそも友人に格付けすることがまず間違いではないだろうか。お酒が楽しく飲めればいいではないか。初対面でも一生涯の友人のように抱き合って酒を交わしたことが何度もある。友人は6人いればいい。しかし、その内訳まで深刻に考え込むものではない。というか、1人でも楽しく酒が飲める。麻雀でもして彼の東京での暮らしぶりを聴けることを楽しみに待とう。