その舟を漕いでゆけ
鈴木祐著「科学的な適職」を読みました。
自分に合う職業、所謂「天職」を科学的に見つけよう、という本です。
老人に後悔したことを聞くと、キャリア選択についての後悔が1番多いそうです。人が自由に仕事を選べるようになったのは19世紀からで、人類史の中でも最近です。つまり、キャリア選択する能力なんてものは人間には備わってないおらず、大した根拠もなく仕事を選んでしまっているのです。
日本で仕事に熱意のある人は全体の6%ほどだそうで、この数字は世界で132位の最下位クラスです。多くの人が自分の仕事に意義を感じられなかったり、ベストを尽くせないわけです。
天職を見つけられた人はどうやって見つけたのか。それは全くの偶然だそうです。なんとなく見つけた仕事をやり続けている内に愛着が沸いた。仕事の情熱は努力の量に比例していく。やり続けることが重要なのである。それでもすきになるまでに、たくさんの苦痛がある。
私のような地位の低い人間はコントロールできる仕事の範囲が狭いため、幸福度が下がる。
ドイツの哲学者ショーペンパウアーは言いました。
「船荷のない船は不安定でまっすぐ進まない。一定量の心配や苦痛は、いつも、誰にでも必要である。」
簡単な仕事だけだと船は曲がって進行する。
会社を休んで、寝転びながら観たかったドラマを一気見してもすぐに飽きた。勝ち負けにイライラしながらやったゲームが1番長続きした。
休みの日まで船だ。空っぽの船を漕いでも幸せにはなれない。積荷の重さで船を沈めながら進んでいくしかない。