若手社員の逃げ場

仕事で辛いことから現実逃避して、気持ちの休まることを書きたいです。

供給の行き届きた世界


ぼくのオフィスは3階にある。工場は1階だ。なにか設計ミスがあると1階の現場まで行って事情を聞いてそれをまた上司に伝える。上司から指示をもらってまた1階に戻る。酷いとこれを何度も繰り返すのだ。もちろん現場にも電話、というかPHSがある。現場の騒音でマトモに声は通らないし、図面の情報を口頭で伝えるのは困難だ。

 


ぼくの働いてる地方は今日から梅雨に入ったようだ。気温は昨日よりも6℃下がったそうだが、階段の登り下りでそんなことは体感できず、むしろ湿気が増えて汗ばんだ。

 


設計ミスの対応は当然スケジュールに組み込まれていない。毎日のスケジュールはオーダの図面作成で埋まっている。ここにミスの対応が重なるので残業になる。汗をかいた分だけ時間が押すのだ。

 

 

 

今朝から野崎まどさんの「タイタン」を読んでいる。タイタンと呼ばれる機械が人間の代わりに働き、あらゆるものの供給量が増え、人が働く必要のなくなった世界。「仕事」は「趣味」に置き換わった。ものはありふれてお金を出さなくても捨てるほどある。働く人間はほんの一握りだが、主人公の内匠成果に仕事の依頼が届く。

 


この世界のほとんどの人間は仕事を「責任を負う。大変。辛い。1度始めると簡単にやめることが出来ない」と思っている。その通りでそれに代わる対価が金しか思いつかない。あとは残業終わりに深夜ラジオを聴きながら車を走らせている瞬間か、家で酒を飲みながらなにもしなくていい時間を噛み締める瞬間だろうか。すくなくとも社内にはない。

 


少なくとも階段の行き帰りで息を入らせている時に「大変だね」と半笑いで労われた時では断じて、断じてない。