虫になりたい
NHKオンデマンドの100分de名著にてフランツカフカの変身の解説を聴いた。
変身の主人公グレーゴルはある日目が覚めたら虫になっていた。会社に行こうとするも重い甲羅のせいで起き上がれない。そこから家に篭ってしまうようになる。
この虫になってしまうのはカフカの願望であると言われている。カフカは厳格な父のもとで育った。小説家になりたかったが父の反対を押しきれずに官僚になる。仕事をしてる間も小説を書いていたが、仕事をやめて小説1本にしたいと考えていた。
虫のような役立たずになってしまえば会社に行かなくてもいい。小説が書ける。
ぼくもコロナが流行りだして病気に罹ってしまいたいと考えてしまったことがある。隕石が降ってきて地球そのものがなくなってしまうとか、ゾンビが大量発生することを考える。カフカのようなダメになってしまいたい願望だ。仕事が嫌なのに回ってきた仕事を断れないし、問い合わせも全て答えようとしてしまう。自分を抑制したくないのに反抗出来ない。最低限の抑制で済ませるように下手な反抗をしないのかもしれない。
ノンフィクションに出てくるようなダメ人間を見るとなんでそんな生き方をしてしまうのかと怒りに近い感情が湧く。しかし、本当はその生活に踏み切れるダメさ、あるいは潔さに憧れているのかもしれない。